資本主義経済の終焉が訪れる(起きる確率=?)
日本の財政破綻で起こる最後の事柄として、資本主義社会の終焉が訪れる可能性も、ゼロではありません。日本はGDPで世界第三位の経済大国です。その日本の国債がデフォルトする訳ですから、世界中で国債に対する信用不安が爆発する恐れがあります。
特に、世界最大の資本主義国家であるアメリカ合衆国は、双子の赤字(財政・経常)を抱えていますが、これは言い換えれば、虚構の信用(借金)で国家が成り立っていることを意味します。もし日本の信用不安がアメリカへ飛び火すれば、米国債の暴落が起き、連鎖的に世界中の国債が暴落することは確実です。色々と問題が指摘されますが、それでも米国債は、世界で最も安全な資産であることに変わりないのです。その信頼が揺るぐとなれば、イギリスやドイツなど他の先進国は無論、中国やロシアなどの新興国も含め、全ての国の国債が信用不安に陥るのは避けられないでしょう。
それは、借金を原資として経済を拡大させる、資本主義経済の根底が覆されることを意味します。そして資本主義が崩壊すれば、マルクスが「資本主義の後に訪れる」と予言した、真の共産主義社会の到来が現実味を帯びます。
99%以上の日本人が誤解していますが、共産主義とは「平等が前提の社会」ではありません。「自由競争が前提の平等社会」が、マルクスが唱えた本当の共産主義です。即ち、中国や旧ソ連&東欧諸国など、最初に平等ありきを前提とした国家は、共産主義ではありません。社会主義という名の「エセ共産主義国家」なのです。
人類の歴史上、本当の共産主義国家は一度も生まれていないのです。唯一、それに近い存在だったのが、第二次大戦後からバブル崩壊までの間の日本です。
マルクスが予言した本当の共産主義社会が訪れる?
ご承知のように、戦後の日本は、アメリカ中心の西側諸国=資本主義社会に属していました。勿論、経済は自由競争が大前提であり、ソニーや松下、トヨタや本田など、資本主義経済を勝ち抜いて世界的大企業に上り詰めた会社を、多数輩出しました。無論、これら大企業の創業者一族を筆頭に、多数の億万長者を排出しました。
その一方で、当時は所得税の最高税率は75%であり、億万長者から一般庶民への所得の再分配が円滑に行われていました。また、新聞やテレビ等のマスコミが、今と違って「権力監視装置」として、ある程度は機能していました。そして国民は「終身雇用」で守られ、年金制度も医療制度も、現在のように崩壊してはいませんでした。つまり、バブル崩壊までの日本では、自由競争経済と国民の平等性が、かなりの部分で両立できており、限りなく共産主義的な国家であったのです。
もし、日本の財政破綻が引き金となり、世界中で資本主義経済の信用が崩壊すれば、かつての日本のような共産主義的な社会へと変貌するのではないでしょうか?行きすぎた資本主義が否定され、その一方で中国や旧ソ連などの社会主義も失敗したとなれば、行き着く先は一つ、自由競争と平等が調和する社会しかありません。現在の大企業や大金持ちの優遇が是正され、自由競争がベースであるものの、一般国民への再分配機能やセーフティーネットが十分考慮された、理想的な社会が訪れるのではないでしょうか。そうであるなら、日本の財政破綻は、むしろ喜ぶべき事なのかも知れません。
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