農業&地方への回帰(起きる確率=10%未満?)
財政破綻が起きれば、金融や建設業を中心に倒産が相次ぎ、街に失業者が溢れることになります。このような経済混乱期に最も有利なのが、農業を営んでいる人達です。言うまでもなく、人間は食料がないと生きていけませんし、人が働く第一の理由も食料を手に入れるためです。
第二次大戦後の日本も、財政破綻した国家の一つです。国のインフラが破壊され、多くの企業が倒産したため、大半の人が失業しており、喰うに困る状況でした。そんな当時、最も生存が安泰だったのが、地方で農業を営んでいる人達でした。農家の人は、自分達の食料を自分で作り出すことが出来ますし、余った分は不足している都会の人達へ(ヤミ市などを通じて)高い値段で売ることが出来たのです。
日本で財政破綻が起きれば、強烈な円安となるので、海外から輸入する食料が高騰します。そして現在、日本の食糧自給率は、カロリーベースで40%、生産高ベースでも60%台半ばと推計されており、元々国内だけでは供給力不足です。つまり、財政破綻は圧倒的な食糧不足を招くので、農家こそが最も重宝される職業となるのです。
しかし、農家も追い風ばかりとはいえません。財政破綻で円安になれば、エネルギー価格も急騰しますから、農家にとっては大幅なコストアップとなるからです。トラクターなど農機具の機械化や、ビニールハウスなど、農業を行うためにもエネルギー(ガソリン等)が必要不可欠となっています。現在、完全に手作業だけという農家など居ないでしょう。
また、実際に財政破綻してから、サラリーマンから農家に転身できるかというと、中々難しい面があります。農地の確保や器具の購入が必要なのは無論、地域の他の農家との連携も不可欠です。実は農業に失敗する人の理由として、田舎の人間関係が排他的で、地方の生活になじめなかったという人も、非常に多いそうです。
ですから、財政破綻で農業が有望な産業になるとしても、都会のサラリーマンが地方の農家に転職するのは、現実的には相当難しいでしょう。実家や親類が農業を営んでいるという人は、その繋がりを大切にしておくべきですね。
余談ですが、農業を始めることは出来なくとも、農業関連企業の株式を保有することで、間接的に利益を上げることは出来るかもしれません。但し、株式投資はハイリスクです。有望だったはずの農業関連企業が、財政破綻の煽りで倒産する可能性も十分ある事は、注意しておくべきです。
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