財政破綻にはメリットもある
当コーナーで述べてきたように、日本で財政破綻が起きると、極度のインフレや失業率の増加など、国民生活に様々な弊害が起こります。一方で、財政破綻することには、実はメリットもあります。
財政破綻とは、国家や自治体が借金(国債や地方債)の返済が不可能になる事です。デフォルト(債務不履行)とも呼ばれるこの行為は、個人で言う所の「自己破産」に相当します。自己破産は、借りた金の返済が不可能である事を裁判所で認定してもらい、借金の棒引きしてもらう行為です。その場合、個人に金を貸していた銀行などは「貸し倒れ」が発生し、損害を被るわけです(※銀行は貸し倒れに備えているから、個人向け融資の金利は高いのです)。
国の財政破綻も、自己破産と基本的に同じで、借金の棒引き〜国債の償還を債権者に諦めてもらう事になります。そうすると、財政破綻では国債を購入していた投資家が、損失を被る事になります。
1990年代のブラジルやロシア、リーマンショック後のギリシャやアイスランド、などの財政破綻では、この点が大きなメリットでした。上記の国では、国債の購入者に外国人投資家の割合が多かったので、損失を外国人に押しつける事ができました。一方の日本では、国債の保有主体別比率を見ると、郵貯や銀行や公的年金など、国民資産を預かる機関が過半数を保有しています。日本の場合、海外に負担を押しつける事はできず、財政破綻の被害は全て、日本人が背負う事になります。
ですから、財政破綻の最大のメリットである「借金の棒引き」は、日本の場合は棒引きされる人間も全て日本人なので、恩恵はありません。しかし、別の幾つかのメリットを受ける事で、国民生活にプラスに働く部分も生まれます。
円安の恩恵と、財務省の権限弱体化が大きなメリットになる!
メリットの一つは、財政破綻でほぼ100%起こる円安の恩恵です。円安は、日本の基幹産業である自動車や家電業界の輸出競争力を高め、莫大な外貨獲得をもたらします。また、円安は海外からの観光客誘致にもプラスに働くので、この面でも外貨獲得は増えるでしょう。そして、中国やベトナムなどとの労働賃金格差が縮小するので、海外への工場移転が減り、日本国内の雇用が増え、失業率が改善します。
一方で、食料やエネルギーなど、輸入に頼っている資源が円安で高騰する事は、短期的にはデメリットになりえます。しかし、食糧自給率の向上や、太陽光・水力・風力や波力・メタンハイドレートなどの国産エネルギーの開発が急務になるので、これらの問題が一気に解決する転機になる可能性が高いです。短期的にはマイナスでも、中長期では食料やエネルギーの自給率が高まり、日本社会が安全保障面で強固になっていく訳であり、トータルではメリットだと言えるでしょう。
そして隠れたメリットとして、財務省の権限を弱体化できる点も見逃せません。消費税増税詐欺でも分かるように、日本では財務省の横暴により、国民が苦しめられています。財政破綻する事は、国家財政を独断と偏見で決めていた財務省の責任問題なので、彼らへの風当たりは間違いなく強まります。財政破綻を期に、財務省の権限を大幅に剥奪し、究極的には財務省を解体する事が出来れば、日本経済にとってはこれ以上ないプラス材料ですね。
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