退職世代に負担を求める為に消費税増税〜は間違い!
退職世代にも負担を求める方法として消費税が必要だ、という理論も最近ではよく言われています。しかしこれも、増税を肯定することを前提にした、非常に問題の大きい理論です。
確かに少子高齢化が進む日本では、現役世代だけで税収を賄うのは段々と厳しくなっていきます。特に高齢世代は、悪く言えば「年金食い逃げ世代」でもあり、若年層への社会保障費負担の押しつけが酷いので、高齢者・退職世代にも分相応の負担を求めること自体は、確かに筋が通っています。
但し、高齢者への負担を求める方法論として、消費税を使うことは明らかに間違っています。消費税は全ての世代に等しく負担を与えてしまうからです。特に若年層は、当然ながらほぼ全員が定収入世帯に該当しますし、失業率も中高年層に比べて遙かに高いです(下記表参照)。しかもこれは08年の統計であり、最新(2010年7月)の統計では15〜24歳の完全失業率は11.1%にまで悪化しています。消費税は定収入世帯ほど負担が大きいので、高齢者よりもむしろ若年層に多大な負担を強いることになるのです。
年齢別完全失業率(2008年平均、総務省データより) |
年齢階層 |
15〜24歳 |
25〜34歳 |
35〜44歳 |
45〜54歳 |
55〜64歳 |
65歳以上 |
失業率 |
7.2% |
5.2% |
3.4% |
2.9% |
3.6% |
2.1% |
それとは逆に、若年層は消費が多い世代です。結婚や出産〜子育てなど、出費の多さは高齢者世帯の比ではありません。収入が少ないのに支出が多い訳ですから、増税の負担が最も大きくなる世代となります。ただでさえ若年層は、年金など社会保障で負担ばかりが大きい「世代間弱者」に追いやられているので、そのうえ消費税で更に負担を求めるのは、余りにも酷すぎるでしょう。
インフレターゲットなら若年層への負担は少なくて済む
退職世代にだけ負担を求める方法としては、当サイトで推奨している「インフレターゲット」が最適な解決方法となります。退職世代は年金という確定された収入しかないので、インフレが起これば税負担が増えます。若年層も負担が増える点では同じですが、彼らは勤労世帯です。インフレは(タイムラグはあるものの)給与に反映されるので、長期的には若年層の給与は増えていき、物価上昇の大部分を相殺できます。またデフレ経済下とは異なり、国内での雇用が増える(円安が起こるから)ので、若年層の失業率も間違いなく改善していきます。
つまり、退職・高齢世代にも税負担を求める方法として、消費税増税することは完全な誤りなのです。インフレターゲットを導入し、意図的に物価上昇を起こすことで、自然に退職世代だけに負担を求めることが可能なのです。
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