財政再建には安定財源である消費税しかない・・・は嘘
金融危機による景気後退で、2010年度予算(2009年実績)の法人税収入は、前年比4割減の6兆円割れにまで落ち込みました。このことを強調して「法人税は当てにならないので、景気に左右されない消費税を増やすべきだ」という理論が幅を利かせています。
しかしこれは、一般国民を騙す理屈にすぎません。2010年の法人税収入6兆円というのは、1985年・・・つまりバブル期以前にまでさかのぼっても、ダントツ最低の数値なのはグラフを見ての通りです。ITバブル崩壊で不況のまっただ中であった2002年度ですら9兆円以上あったのですから、09年度の数値は明らかに異常です。政府も財務省も「100年に一度の経済危機」だと言った訳ですから、税収も100年に一度の危機的激減であり、そんな年は例外と見るべきでしょ?
1985年〜2009年の25年間の法人税収入の平均は13.5兆円ありますし、2000年以降で見ても12.3兆円の平均税収があります。つまり景気が平均レベルに戻れば、6〜7兆円=消費税にして3〜4%分の税収が確保できる訳です。
また2009年度の一般会計の税収は37兆円というのもやはり異常値であり、景気がまともになれば、過去25年の平均である約50兆円程度、インフレターゲット導入と本格的に経済成長を達成できれば60兆円以上の税収が確保できます。これならば新規の国債発行額を30兆円未満に押さえられるので、財政再建論者が強調する「プライマリーバランスの黒字化」も達成できます。つまり経済を正常化させれば、消費税の増税など完全に不要です。
更にいえば、法人税の最高税率(法人住民税等を含む)は97年までの50%から、その後39%にまで減少しています。にも関わらず、税収は増えています。要するに日本企業は、海外への輸出で大量に稼げるような体質になっているのです。人口減少で消費税の税収は減少していくことは確実ですが、法人税収入は増加させることが可能です(しかも税率を上げなくとも)。どちらが将来の安定財源になり得るのかは、火を見るより明らかですね。
安定財源なら特別会計を見直せばよい
経済成長などあてに出来ない、どうしても安定財源を確保したい、というのであれば、ガソリン税など特別会計を活用すればよいのです。一般的には知られていませんが、実は特別会計の予算は一般会計よりもさらに大きく、かつ安定的な財源が多いのです。しかも国会でほとんど審議の対象とならない為、使途不明金がとてつもなく多いのです。
天下り先を確保したい各省庁の官僚と、業界団体からの票や裏金に執着する族議員が一致団結しているため、特別会計は税制の中でも聖域となっています。自民党政権下では無論、民主党政権になっても、特別会計の見直しは一向に進んでいません。安定財源というなら、消費税よりも特別会計の方がはるかに安定しています。消費税のような逆進性の税制で国民負担を増やす前に、官僚の特権を徹底排除して、ふんだんにある特別会計の余剰や無駄を省いて、社会保障費などに回すべきなのです。
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