特集〜消費税増税は必要ない! from マネーガイドJP

日銀がインフレターゲットの最大の抵抗勢力!?

 

日本でインフレターゲットが取られないもう一つの原因として、日本銀行が導入に抵抗し続けていることもあります。日銀幹部は生粋の市場原理主義者達で占められており、日本国民の利益を無視し、日銀の利権や幹部の個人資産保全を最優先に政策遂行している、まさに「一般国民の敵」「抵抗勢力」といえる存在です。

日銀は断固として、量的緩和(国債の日銀買い取り=インフレターゲット政策)を拒否し続けました。日本が90年代後半からのデフレスパイラルを抜け出せないのは、日銀が十分な量的緩和を行わなかったことが最大の原因です。日銀の幹部連中は自分達のことを「日本を動かしているエリートだ」とのぼせ上がっています。政府の言いなりになって量的緩和に応じるのは、日銀の独立性を損なう(自分達の権力が弱まる)との意識が強いため、極めて消極的な対応しか行ってきませんでした。彼らの権力意識が、日銀がインフレターゲットを拒否する理由の一つです。

そして拒否するもう一つの理由は、日銀幹部が自分たちの個人資産を最大化したいという「私利私欲」です。彼らは高い給与を得ている富裕層であり、多額の個人資産を日本国債で運用しているから、量的緩和=インフレターゲットで国債価格が下落することは、絶対に行いたくないのです。また、デフレ政策を続ければ必然的に円高が続きますので、外貨取引(円買い)で簡単に儲ける事だって可能です。日銀幹部共は、自分達富裕層が儲かっているのなら、デフレスパイラルが続いて日本国民の生活が破壊されても構わないと考えているのです。

歴代総裁は市場原理主義者で私利私欲の塊

例えば1998年から総裁に付いた速水優は、デフレが解消していないにも関わらず、2000年に金融引き締め(利上げ)を行いました。この利上げは「日銀史上最大の失策」といわれており、この後日本経済は真っ逆さまに落ち込みます。2001年と2002年には、名目GDPがマイナスになる「デフレスパイラル」に嵌り込んでいます。そして2003年4月には日経平均株価は、バブル崩壊後最安値となる7603円にまで落ち込みました。

この頃速水は「(ゼロ金利政策は)必要なところに金が流れないで、死ぬことが分かっているところへ金が出て行くことが続いてしまう。早く(金利を)正常に戻したい」と主張しています【日銀の議事録より】。これはつまるところ、体力の弱い企業はどんどん切り捨てるべきという「市場原理主義」を意味します。速水の意図を直訳すると「中小企業や一般庶民が苦しもうと知ったこっちゃ無い!勝ち組・金持ちが豊かになればそれで良い」と言うことです。

また速水の後に日銀総裁に就いた福井俊彦は、自身の個人資産をあの村上ファンドに預けていたことが発覚しました。村上ファンドと言えば、富裕層から集めた金で株を買い、株主総会などで脅しをかけて高値で売り抜ける「アクティビティファンド(平たく言えば現代版の総会屋)」でした。しかもファンド代表である村上世彰は、証券取引法違反(インサイダー取引)で逮捕されましたので、福井は犯罪者集団に投資していたことになります。しかし発覚後も福井は、一切悪びれる様子もなく「総裁を辞任する気はない」と権力の座にしがみ付き続けました。村上ファンドなぞに個人資産を預けていた福井も、速水同様、自らの利潤しか考えない究極の市場原理主義者です。

日銀法の改正で、政府に従わせることが絶対必要!

政治家の中には、インフレ目標を定めるべきだと主張する人も出てきました。2010年の参院選で、管総理が「消費税増税」を打ち出したことで民主党が惨敗し、民意は明らかになりました。特に大躍進を遂げた「みんなの党」は、増税する前にインフレ目標を定めるべきだと主張しており、民主党内にもこの動きに乗るべきだという声も上がっているようです。政治家にも「増税よりもインフレターゲットが最適だ」という正しい認識が、少しは浸透し始めたようです。

しかし政治家がインフレターゲットを押し進めようにも、日銀が絶対反対の姿勢を続けているので、簡単に事は進みません。インフレターゲットを実現するには、まず国会で日銀法を改正して彼らの権限を大幅に削減し、政府の方針に絶対服従させることが必要です。それとともに、日銀が勝手に決めた独自ルールである「長期国債の買い取り限度枠」を廃止させ、いくらでも引き受けれるように粛正する必要があります。

日本の財政再建には、消費税ではなくインフレターゲット政策が最適なことは間違いありません。また「失われた20年」の経済停滞から抜け出し、再び日本を活性化させるためには、デフレスパイラルを抜け出すことが必要で、その意味でもインフレターゲット政策が絶対不可欠です。しかしその最大の抵抗勢力は、実は財務省や経団連ではなく、日本銀行なのかもしれません。



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