特集〜消費税増税は必要ない! from マネーガイドJP

インフレターゲット反対論者の矛盾した言い訳

 

インフレターゲットの導入には、かねてより強固な反対論者が少なくありません。彼らの反論は主に「金融緩和を続けてもインフレは起こらない」というか、もしくは「ハイパーインフレが起こったらどうする!」という二通りに分かれます。しかし、どちらの反論も明らかに間違っています。

まず「金融緩和を続けてもインフレは起こらない」という理論は、理屈からしてあり得ない話です。政府が大量に国債を発行して、日銀がこれまた大量に1万円札を発行して買い取る・・・これでインフレが起きないはずがありません。もしインフレが起きないなら、それこそ日本はパラダイスです。政府は好きなだけ国債を刷りまくって現金化して、それを国民に配れば、日本国民は一生働かずに生きていけます。日銀が国債を買い取って資金流通量(マネーサプライ)を増やせば、通貨=日本円の価値が減価していき、インフレ及び為替の円安が進むのは、経済の原則からしてほぼ100%確実なのです。

インフレや円安は、日本経済の発展に欠かせない要素ですから、それを意図的に作り出すのがインフレターゲットです。万が一、反対論者が言うようにインフレが起きないのであれば、紙幣を無尽蔵に刷ってお金を生み出せるので、日本経済はインフレターゲットで目指す社会よりも、はるかに有利な夢の国へと成り上がります。

つまり、最初の反対論者の言い分は、経済学の常識からも間違っているうえに、その理論自体も矛盾している(インフレが起きなければ尚更良い!)という、支離滅裂な言い訳なのです。

ハイパーインフレ論は脅しであり、捏造である

では二つ目の「ハイパーインフレが起きる」という反論はどうでしょうか?これも実に矛盾に満ちた馬鹿馬鹿しい理論です。

インフレ率が予想以上に進んだのであれば、その時点で金融引き締め(政策金利を上げる&マネーサプライを絞る)を行えば良いだけの話です。金融緩和でインフレが起こるのと同様、金融引き締めでインフレが抑制されるのも、経済の世界では当たり前の理屈です。反対論者の理屈では、まるでインフレが想定以上に進んでも「何もせず放置する」ような前提で話しますが、そんなことは現実では絶対あり得ないので、話の前提としておかしいのです。

また「ヘッジファンドの空売り攻撃で国が破滅して、ハイパーインフレになる!」という人もいます。確かに98年のアジア通貨危機ではタイや韓国などが、また2010年のギリシャ危機でも、ヘッジファンドの投機によって国債価格や為替レートが大暴落を起こしました。しかし現在の日本は、これらの国の数十〜数百倍の経済規模を持つので、ヘッジファンド如きの攻撃で破綻したりはしません。

確かにインフレターゲットで国債価格は下落するでしょうが、国の経済が破綻してハイパーインフレが起こるほどの大混乱には、絶対になりません。日本は世界第二位の経済大国であり、同じく世界第二位の約1兆ドルの外貨準備を持ち、国債の市場規模に至っては世界最大です。アジア通貨危機時の国債の市場規模はタイで100億ドル前後ですが、日本の国債市場は現在約9兆ドルもあります。タイや韓国やギリシャなどのような小国と比べること自体間違いです。

そもそもハイパーインフレの定義は「インフレ率が月50%=年13000%以上(1年で物価が130倍以上)」とされています。これまでハイパーインフレが起きた国というのは、戦争で国家が崩壊した場合(大戦後のドイツやハンガリーなど)か、無能な独裁者が長期間国を牛耳っている場合(ジンバブエや北朝鮮など)か、どちらかです。

まともな民主主義国家では、インフレ率が高くなると金融引き締めなど必ず対策を行うので、一年で物価が100倍以上にもなるハイパーインフレなど起きるはずがないのです。アジア通貨危機時のタイや韓国などでも、物価の急上昇は起きましたがハイパーインフレには全然至っていませんから、日本で起こるはずがないのです。

インフレターゲットに反対する学者連中は、学術的に反論を唱えているわけではなく、インフレが起きると自分が損をするという立場〜つまり単なるポジショントークなのです。彼らは日銀お抱えの御用学者か、もしくは長期国債でも大量に保有していてインフレで自分の資産が大きく目減りする連中なのです。でなければ、これほど矛盾だらけの理論を唱えることなど、考えられません。彼らが自己保身の為にでっちあげる矛盾した反論に、決して惑わされてはいけませんよ。



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