特集〜消費税増税は必要ない! from マネーガイドJP

消費税の増税は中小企業を壊滅させる!

 

消費税の増税は、所得の高くない一般庶民ほど負担は大きいですが、実は中小企業にとっても死活問題となります。その理由は、中小企業は増税分を商品価格に転嫁できないからです。

あまり知られていませんが、実は消費税は納税の延滞が、全ての税金の中で最も多いのです。平成20年度の国税滞納額の内、実に45.8パーセントが消費税の滞納でした。その理由もやはり、中小零細企業や個人事業主などは、消費税の負担が重くて払えないからです。特に大企業の下請けを行う企業は、折からの不況で大企業からのコスト削減圧力がすさまじく、とてもじゃないが消費税の増税分を価格転嫁することなど出来ないでしょう。

下記の表(*1)でも分かるように、規模の小さい事業所ほど、価格転嫁が難しいという傾向にあります。

消費税の価格転嫁が可能かどうかのアンケート結果
売上規模 ほぼ全て転嫁可能 一部しか出来ない ほとんど転嫁不能
1000万円以下 42.7% 22.3% 35.0%
〜1500万円 49.8% 22.6% 27.6%
〜2000万円 47.6% 25.1% 27.3%
〜2500万円 51.7% 22.4% 25.9%
〜3000万円 54.6% 19.1% 26.3%

価格に反映できない分は、そのまま中小企業の負担になるわけです。つまり消費税が5パーセント上がって10%になれば、中小企業のコストが5%増えることに等しいのです。日本の全企業数における中小企業や個人事業主の割合は実に99%以上であり、そのうち7〜8割が赤字経営だと推計されています。もし増税で5%もコストが増えれば、赤字経営の企業は、大半が倒産する羽目に陥るでしょう。

では下請けとして使う大企業を監査して、中小企業に価格転嫁を認めさせるよう指導すれば?一見すると理想的な話ですが、所詮は机上の空論です。企業にコスト増を容認させるような政策は、経済の原理からして成功するはずがありません。中小企業同士も、大企業の仕事を取ろうと少しでも安い価格で受注しようと競争になるからです。中小企業を救いたければ、消費税を完全撤廃して、彼らの見えないコスト負担を無くしてしまうのが最善策です(*2)。

消費税は、購買者サイドでは低所得者ほど負担が大きいことは述べましたが、企業サイドでも規模の小さな事業者ほど負担が大きくなるのです。消費税増税は、庶民の生活を破壊するだけでなく、多くの中小企業を倒産させ、失業者や自殺者の激増を招くでしょう。今の日本に必要なのは、景気を悪化させる増税ではなく、景気浮揚を促す財政出動です。インフレターゲット政策なら、中小企業や庶民の負担を最小限に押さえながら、景気対策が可能になります。

*1:参考文献;消費税のカラクリ(斉藤貴男:講談社)。2002年に消費税の免税事業者が売上3000万円以下から1000万円以下に縮小された時に、中小企業庁が事業所宛に取ったアンケートの結果。
*2:類似する問題として、消費税の輸出戻し税があります。中小企業へ戻し税分を払わないケースが問題となっています。

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