消費税最大の問題点は「逆進性」の極みであること!
消費税の最大の問題点は、所得の低い人ほど負担が大きく、金持ちにはほとんど影響がないという「逆進性」の究極系といえる制度なことです。
税金というのは、国家の運営資金(国防や外交など個人では行えないことを国家が行う)としての役割とともに、所得の再分配という重要な役割があります。資本主義社会で富裕層に属する人間(資本家・経営者)は、多かれ少なかれ労働者から搾取することで大金を得ている訳です。労働者はどうあがいても経営者より弱い立場なので、国家が代わりに労働者への分配を多くすることで貧富の差を和らげる・・・これが税金の役割なのです。所得税が「累進課税制度」になっているのも、低所得者への負担には限界があるので、高所得者に沢山負担をしてもらうという意図があるからです。
しかし消費税には、累進性はありません。年金暮らしのおばあちゃんが買う100円の野菜にも、金持ちのドラ息子が買う1000万円の高級外車にも、一律に5%や10%といった税率が課せられます。ドラ息子にとっては税金が50万円から100万円に増えても痛くも痒くもありませんが(値段が高くなる方が自慢のネタになるので喜ぶことも)、おばあちゃんにとっては5%の税率アップは死活問題になります。
そして日本の法人の99%以上を占める中小企業にとって、消費税増税は死活問題となります。中小企業は増税分を商品価格に転嫁できない可能性が高く、利益を圧迫するからです(詳しくは中小企業の倒産を増やすにて)。
また「食料品など生活必需品には軽減税率を適用すれば良いだろ?」という議論も、実は大きな落とし穴があります。軽減税率品目を作れば、それだけ税収が減ります。特に現在の消費税は「社会保障費の財源目的に」という議論が主流になってしまっているので、軽減税率で税収が足りなくなれば、さらに消費税率を上げることになりかねません。そうすれば、いざ軽減税率の対象外商品を買わねばならなくなったときに、一般庶民は多大な負担を強いられることになるのです。
結局は、どうあがいても消費税には「逆進性」という足かせが付いて回るので、財源確保のためにと導入すれば、中小企業や庶民の生活を破壊するだけに終わります。ただでさえ少子高齢化で経済が苦しくなるというのに、国民の大多数にマイナス影響を与える消費税増税を実行すれば、日本経済は永遠に上昇することなく「世界の三等国」へと没落していくでしょう。
国の財政再建には、官僚の特権を完全排除する「構造改革」と共に、税収自体を増やす「経済成長」が必要です。そして当サイトで解決策と提案する「インフレターゲット(調整インフレ)」を導入すれば、名目経済成長率を増やすことができ、借金の負担が年々軽くなるので、自然と財政再建が出来るのです。さらに付け加えると、日本のようなデフレ経済は、資産を大量に持つ資本家・経営者側に圧倒的有利な状況ですから、インフレターゲットにより物価上昇を起こせば「所得の再分配機能」も果たすのです。
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