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日本の長期金利はなぜ世界最低なのか

2010年末の日本政府の借金(国債発行残高)は、対GDP比で200%という世界最悪の水準です。近い将来、日本の財政が破綻する可能性は、極めて高いでしょう。

しかし不思議なことに、このような膨大な借金があるにも関わらず、日本の長期金利(10年物国債の利回り)は1%前後と世界でもダントツで最低の水準にあります。財政楽観論者は「長期金利が世界最低なのだから、日本が破綻することは無い!」と言い張ります。

では何故、日本政府の借金は増加しているのに、逆に金利は下がっていくという「矛盾」が起きるのでしょうか。

まず1つに、日本の長期金利は「名目では」世界最低ですが、実質的には他の先進国よりも高いことが上げられます。アメリカの長期金利は現在3%台ですが、一方でインフレ率が約2%あるので、実質金利(額面の金利−インフレ率)は1%台になります。ドイツ・フランス・イギリスなども長期金利は3%台ですが、物価変動を除いた実質金利では、やはり1%台に落ち着きます。

一方で日本は、名目金利は1%ですが、インフレ率はマイナス1%圏で推移しているので、実質金利は2%台になります。つまり他の先進国との金利差は、実質的には逆転しており、日本の金利が世界最低では無いのです。

日本国債は完全なバブル状態

もう1つの理由は、現在の日本国債は完全にバブルの状態にあることです。機関投資家(銀行・生保・年金基金などの法人投資家)がリスクを取らず、国債ばかり購入しているので、日本国債は明らかに買われすぎの水準なのです。

しかしバブルであることは、国債を買っている金融機関側も百も承知です。なぜバブル状態の国債を買うのかというと、バブルは弾ける直前までは確実に儲かるからです。バブルが弾けた時にその商品を持っていた人は損をしますが、直前までに売り抜けた人は大きな利益を得られます。機関投資家達は、国債市場で「チキンレース」を行っているのです。

個人投資家は、バブル下のチキンレースを戦うには、極めて不利な立場です。情報力の差は言うまでもなく、リスク許容度も桁違いだからです。個人投資家は自分の財産を運用するので、リスクは全て自分持ちです。しかし機関投資家が運用するのは、所詮は他人のカネなので、仮に大損を出しても自分の財産が減る訳ではなく、賠償責任を負わされる訳でもありません。

特にヘッジファンドは、バブルに乗っている間は高い手数料を徴収し、バブル崩壊後にはファンドを破産させてチャラにする、悪質な存在も少なくありません。ですから、日本国債が完全なバブル状態にあっても、崩壊するその日まで、機関投資家達はハイリスクを承知で「チキンレース」を続けるのです。

以上のように、日本国債はバブル(買われすぎ)であるにも関わらず、実質金利は欧米よりも高いのです。つまり、バブルを除いた適正な日本国債というのは、名目で2%(実質で3%)以上と考えられます。少なくとも、現在の日本国債を買うことは、極めて愚かな行為なのは間違いありません。

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