株式投資ガイドブック from マネーガイドJP

仕組み債はボッタクリ

近年、証券会社が主に富裕層や中小企業経営者に向けて売り込みを強化している金融商品に「仕組み債」と呼ばれるものがあります。仕組み債とは、幾つか種類がありますが、最もメジャーなものは「EB債(他社株転換可能債)」というものです。

EB債はいわゆるオプション取引(デリバティブ商品)の一種で、特定企業の株式が決められた価格(ノックイン価格)より上昇していると大きく儲かるが、価格が下回っているとゴミ株と交換させられる〜などという、かなりいかがわしい仕組みの商品です。

利益も損失も大きいなら、単なるハイリスク・ハイリターンの金融商品に過ぎません。しかし仕組み債は、その複雑怪奇な仕組みの中に、販売する金融機関が高い手数料を(見えない形で)内包させている、極めてボッタクリ度の高い商品であることが、最大の問題です。週刊ダイヤモンドの調査によると、仕組み債は最大で8.5%もの手数料を(投資家に分からない形で)抜き取っている、と報じています。

仕組み債に限らず、複雑な金融商品ほど、販売する金融機関が手数料を抜き取れる余地が大きいです。そして投資家にとっては、複雑で分かりにくい商品ほど、ボッタクリで割の悪い商品になります。リーマンショックの原因となった「サブプライム債券」しかり、中国経済崩壊のトリガーになると恐れられているシャドーバンキング問題の「理財商品」しかり、一見して中身が分かりづらい金融商品ほど、投資家にとってハイリスクかつ、手数料を高くとられているボッタクリ商品なのです。

仕組み債も現在は富裕層向けにしか販売されていませんが、いずれサブプライム債券のように小口化されて、一般の投資家にも販売され始めるかもしれません。かつては富裕層限定商品だったプライベートバンクやラップファンド、海外ヘッジファンドへの投資なども、近年では一般庶民にも購入可能な単位にまで小口化されて販売されています。そして小口化されるほど、ほぼ例外なく手数料率が大きくなり、ボッタクリの度合いが高まるという法則があります。

仕組みがよく分からない商品はボッタクリ商品だ

しかし一般の投資家の人は、仕組み債について詳しく知る必要はありません。金融機関が必ず儲かる(投資家はほぼ確実に損をする)ように作られた超絶ボッタクリ商品なので、そもそも投資する価値は無いのです。「仕組みがよく分からない商品ほど、問題の多いボッタクリ商品だ」という法則を覚えておけば、失敗のリスクを避けられます。前述のダイヤモンドでも、元証券マンのコメントとして「リスクが高く、金融のプロなら買わない商品だ」と紹介しています。

世の中にあるデリバティブ商品のほとんどが、この法則に当てはまり、高コストで投資家に不利な商品設計になっています。デリバティブとはリスクヘッジ商品ではなく、金融機関の金づる商品に過ぎないのです。

ですから証券会社の営業マンが仕組み債を勧めてきても、断固拒否すべきです。むしろ、営業マンも仕組み債の中身・ルールはよく分かっていない事も多いので、徹底的に問いつめてみると面白いかもしれません。もし自分の理解できていない商品を顧客に勧めるような営業マンだったら、即刻縁を切るべきでしょう。

関連ページ;個人向け国債のデメリット

  マネーガイドJP (C)2014.rh-guide . All rights reserved.