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日本国債の保有主体別比率グラフ

日本の国債残高は2010年3月末時点で771兆円、それ以外にも借入金や国庫短期証券などを合わせた「国の借金総額」は973兆円にものぼります。これは日本国のGDPの約2倍にものぼり、対GDP比の借金比率は先進国でダントツ最悪です。

以下のグラフは、日本国債を保有者別に分類した割合を示したものです(参考:週刊エコノミスト・10年2/23号)。日本国債は外国人の保有比率が低いのが特徴的で、全体の6.4%に過ぎません。対GDP比2倍もの膨大な借金にも関わらず、長期金利が1%台と低位安定しているのは、外国人の保有比率が低い、つまり国内で国債が順調に消化できていることが最大の理由です。

国債の保有者別割合グラフ

しかし同時に、保有主体の偏りがいびつだとも見て取れます。例えば旧郵便局(ゆうちょ銀行とかんぽ生命)が国債全体の1/3を保有しています。また公的年金(国民年金や厚生年金を運用するGPIF(政府年金投資ファンド))などを合わせると、実際には国債の半分近くが国営の金融機関が保有していることになります。

ゆうちょ銀行では総資産の4分の3が、またGPIFの年金運用では3分の2が、日本国債で運用されています。つまり、これら半国営の金融機関に、どれだけ低金利でも従順に購入を続けさせられることこそ、日本の借金が幾ら膨らんでも大丈夫だった理由です(*関連ページ;国の借金増加が厚生年金を更に悪化させる)。逆に言えば、年金の運用利回りが低すぎて破綻寸前でも、高い利回りが見込める株式や海外資産への投資などが増えないのは、そちらに運用資金を回せば国債の消化に支障をきたすからです。

このような低金利では個人向け国債など馬鹿らしくて誰も買いませんし、ましてや海外の投資家など見向きもしないでしょう。日銀はその気になれば国債購入を幾らでも増やせますが(自分で通貨を発行できるから)、日銀が大量購入するとなれば、通貨価値の激減、つまり大幅なインフレが起こります。

このように日本国債は、消化手段が既に八方塞がりの状態ですから、近い将来日本の長期金利は急上昇(既発債価格は暴落)することは間違いないと思われます。つまり国債の利息も近い将来、大幅に上昇するはずです。

ですから現在(2010年)のような超低金利下では、資産運用として国債を購入することは極めて不利であり、買うに値しない商品であるということです。現在は株式などリスク資産に投資すべき時期です。リスクを取りたくない人は、普通に銀行預金で十分です。どちらもほとんど利息など付かない訳ですし、しかも個人向け国債には解約不能期間がある分、預金よりもさらに不利ですから。

関連ページ;個人向け国債のデメリット

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