マネーガイドJP〜ローン・融資 | from マネーガイドJP | |
|
モラトリアム(返済猶予)法案の問題点2009年秋に、亀井静香金融大臣が突然言い出した「モラトリアム法案」が波紋を呼んでいます。モラトリアムとは「返済猶予」の意味で、中小企業が銀行や信用金庫などから受けた融資(借金)の返済に、数年の返済猶予期間を設けるという内容です。 サブプライム問題に発端する金融危機で世界経済はリセッション入りし、特に日本の中小企業は不況の煽りを強く受けて、業績悪化が著しい状態です。彼らの借金返済に猶予を持たせることは、一見良いことのように見えます。 しかしモラトリアムには大きな問題が潜んでおり、政治家や金融関係者だけでなく、中小企業の経営者からも疑問の声が上がっています。 仮に、ある中小企業が銀行からの借り入れに対してモラトリアムを申し出たとすれば、その企業は今後、銀行からの追加融資を受けられなくなる危険性が指摘されます。返済猶予を申し出る企業というのは、資金繰りが厳しい=経営破綻の危険性が高い訳ですから、銀行にとって返済猶予は不良債権を抱える事に等しいでしょう。 サブプライム危機やリーマンショックで、銀行の経営自体も悪化しています。その為、2009年に入ってUFJ・みずほ・三井住友ら大手都市銀行の大型増資が相次いでおり、それが嫌われて銀行株も暴落しています。こんな状況で、中小企業の返済猶予を認めてしまえば、銀行の経営はさらに悪化⇒株価暴落⇒より一層銀行経営が傾く、という負のスパイラルが起こりかねません。 銀行の貸し渋りを増加させるもしモラトリアム法案が成立すれば、リスクを恐れて銀行の「貸し渋り」がより一層激しくなることは目に見えています。また返済猶予を申し出た中小企業はブラックリスト入りし、今後の追加融資の道が絶たれる恐れが高いでしょう。 その為、資金繰りが厳しいはずの中小企業経営者でも、反対意見の方が多いという統計が出ています。例えば帝国データバンクが10月下旬に取った中小企業のアンケート結果によれば、モラトリアム法案に賛成が賛成が27%、反対が38.4%、分からないが34.6%となっています。分からないは「本音では猶予を希望するが、申請したら銀行から貸し渋りを受けるでは・・・」という意見が大半と思われます。 そして実際に返済猶予を「申請する」と答えた中小企業は13%に留まっています。銀行にとってはマイナスな上、中小企業にとっても決してプラスになるとはいえない・・・これでは何の為に制度を作るのか、根本的に問題のある制度だと言わざるをえませんね。 歴史的に見ても、徳政令などモラトリアムが何度か行われたことはありましたが、期間は数ヶ月以内とごく短期間なものばかりです。亀井大臣の目指す3年もの長期に渡った返済猶予など、世界的に見てもほとんど前例のない自体です。モラトリアム法案が、かえって日本の景気を悪化させないことを祈りたいですね。
|
|
![]() |
![]() |
![]() |
マネーガイドJP (C)2014.rh-guide . All rights reserved. |