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黒字の粉飾と赤字の粉飾決算の粉飾といえば、一般的に赤字の企業が利益が出ているように財務諸表を書き換える行為だと思われがちです。しかし実際には、わざと赤字を計上する粉飾決算というのも存在しますので、理由を解説してみます。 世間を賑わせた粉飾決算、ライブドアやオリンパス、カネボウなどは、皆利益を水増しする方向へ財務諸表を捏造したものです。粉飾の手法は、単純に不良在庫を過小に計上するものから、俗に言う「飛ばし」という手法〜損失や赤字を子会社に押しつけたり、関連会社同士で売上を回す循環取引、など様々です。どれもが損失や負債を隠蔽したり、架空の売上を計上したり、と利益を水増しする方向に決算書を粉飾するという動機は一致しています。 ライブドアやオリンパスなど、誰もが知る有名な粉飾決算の企業は、大半が株式を上場している企業です。上場企業では、赤字決算は御法度で、黒字を計上し続けることが求められます。上場企業は株主のものであり、社長はお飾りに過ぎませんから、赤字だと株主からクビにされたり、役員報酬や社員の給料を減らされる可能性が高まります。このようなデメリットがある為、上場企業には無理矢理にでも利益を計上しよう、赤字は何としても避けよう、というバイアスが働き、黒字決算への粉飾行為が起きるのです。 しかし、粉飾決算は何も黒字に偽装するものだけではなく、わざと赤字に繕うものもあるのです。上場企業のような大企業に勤めている人には理解しがたいかも知れませんが、世の中小企業の大半が、わざと決算が赤字になるようにしているのです。 中小企業がわざと赤字決算にする理由黒字を計上すると、当然ながら法人税を支払う必要が生じます。また税務調査は、赤字企業には入られる確率が大きく下がるという性質もあります⇒税務調査が入る基準は売上1000万円?。このような理由から、中小企業の社長にとっては、赤字決算にしておく方が合理的なのです。と言っても財務諸表を赤字にしておくだけで、社長の報酬や従業員の給料はしっかり確保しています。単に会社に利益を残さないようにするだけです。 上場企業は法人税を払うことになっても、黒字を計上することの方が重要ですが、多くの中小企業にとっては決算書を黒字にすることにメリットはありません。このような理由から、中小企業の場合、粉飾まで行かなくとも合法的な範囲で節税を行って、帳簿の上では赤字決算にする会社が大半です。その中の一部が、売上の除外や架空経費の計上など、赤字への粉飾決算を行っているのです。 【まとめ】 上記のように、企業の規模によって粉飾決算の理由と方向性は真逆になるのです。日本では中小企業の9割以上が赤字だというのは有名ですが、これは統計のマジックとも言えます。実際には社長も従業員も十分な給料を貰っていて豊かな会社でも、節税と税務調査回避の目的で、赤字決算にしている場合もあるからです。
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