株式投資ガイドブック | from マネーガイドJP | |
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REITの金利上昇リスクREIT(不動産上場投信)は、少額から手軽に一等地のオフィスビルなどに不動産投資できることから、非常に優れた金融商品です。2013年からのアベノミクス相場で、REITの株価も上昇しており、大きな利益を得た個人投資家も多いでしょう。 また2014年から始まったNISA口座の活用先としても、配当(分配金)の多いREITは注目されています。2020年の東京オリンピック開催に向けて、東京の地価が再びバブルに入るとの予測もあり、REITへの投資を真剣に考慮する時代がきています。 但し、今後の日本経済の成り行きを考えると、REITへの投資で注意しておくべき大きなリスクが一つあります。それは、金利の上昇によるREITの経営悪化です。 REITは利益の90%以上を分配金に回せば法人税がかからない法律になっていることから、利益を内部留保することはほぼありません。このため、REITが新たな物件を取得する際には「増資」か「銀行からの借り入れ」のどちらかが必要になります。そして上場するREITの多くが、銀行から多額の借り入れを行っています。そのためREITは、金利が上昇すると負債の負担が増え、経営が傾くリスクが高まる仕組みになっています。 REITの金利リスクを計るには「LTV」という指標が有効です。LTVは(Loan to Value)の略称で、不動産価値に対する借入金の比率を表す指標で、この数値が高いほど金利上昇時に経営が悪化するリスクが高いです。LTVのJ-REIT全体の平均は40%台で推移しており、60%を超えると要注意だと言えるでしょう。 アベノミクスの源泉である、黒田日銀の「2%のインフレターゲット政策」により、日本では中長期的には市中金利が上昇していく可能性が高いです。そもそもゼロ金利政策というのは、世界の金融市場でも前例の無い政策で(リーマンショック以降、米国や欧州が追随したが)、資本主義の仕組み上、本来なら2%以上のインフレは当然の水準です。 REITは分配金利回りから見るとバブル?そもそも日本が財政破綻しない為には、4%以上のインフレターゲットが必要であり、現在の日銀の2%という目標値も相当低い数字です。よって今後は、日本の金利は上昇していく可能性は極めて高く、REITの金利負担は増えていきます。景気がバブルになって賃料が大きく上昇していけば別ですが、2014年の消費税増税によって景気が減速しているにも関わらず、財務省の利権によって15年以降の更なる増税も予定されており、賃料の上昇はさほど期待できません。 ましてやアベノミクス相場は期待専攻が強すぎて、REITの株価はすでに「バブル」と呼べる位に過剰に上昇しています。それが証拠に、2014年現在のJ-REITの平均分配利回りは約3%と、歴史的低水準に留まっています。現状、REITへの投資はその顕在する金利上昇リスクに見合うだけの分配金は、得られていない状況です。 REITに限らず、ほとんどの日本人が「デフレ」と「ゼロ金利」に慣れきっており、インフレと金利上昇のリスクを忘れている状況です。REITへの投資を止めろというつもりはありませんが、将来日本の金利は確実に上昇していき、低金利が前提で経営されているJ-REITは、経営破綻する所もでてくる恐れがあります。 REITはミドルリスク・ミドルリターンなどと言われたりしますが、現実はそう甘くはなく、リーマンショック時にはニューシティレジデンスのように経営破綻したREITも出ました。景気が過熱して金利が上昇してもリスクは上がりますが、金融危機が起きてもやはり破綻リスクは高まります。投資家はREITは株と同レベルのリスクがあるのだと認識しておくべきです。
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