株式投資ガイドブック from マネーガイドJP

高配当株投資のリスク

株式投資の世界では、配当利回りの高い銘柄は、それ以外の銘柄よりも利回りが高くなる傾向が、世界的に確認されています。

最も有名なのは、アメリカのニューヨークダウ30銘柄のうち、毎年配当が高い順に10銘柄を保有するという「ダウの犬」戦略です。このダウの犬で構成されたポートフォリオは、通常のNYダウ平均よりも、年率利回りが2〜3%ほど上回るデータが出ています。

同様に日本でも、TOPIXコア30種を使ってダウの犬同様に高配当企業を集めて作ったポートフォリオは、TOPIX自体を上回る成績を収めるというデータがあります(ダイヤモンドZAIより)。

日本でも2010年5月14日より、東証の高配当株だけに分散投資するETF(東証配当フォーカス100:証券コード1689)の発売が始まる予定です。これはアメリカにある「ダウジョーンズ高配当インデックス(DVY)」を意識して作られたものと思われ、高配当効果により通常のTOPIX・ETF(1306など)を保有するよりも高い利回りが期待できそうです。

但し注意したいのは、単純に配当利回りが高い個別銘柄を買い付けるだけでは、別のリスクをはらんでいることに注意すべきです。

まず、配当金は毎年大きく変動するという問題です。特にジャスダックやマザーズなどの新興市場銘柄には、時には配当利回りが10%超にものぼる銘柄も現れますが、そうした銘柄はほぼ間違いなく翌期には減配、下手をすれば無配転落となります。

問題のある企業ほど利回りが高くなる?

配当利回りが高いのは、業績が良いからではなく、業績が芳しくなかったり何か問題を抱えているために株価が大きく下落しており、相対的に配当利回りが高くなっているに過ぎないケースが多いです。一般的には5%を越える場合は減配リスクは高く、10%を越えるような場合はほぼ確実に翌期は減配でしょう。

また多くの人が利用している「ヤフーファイナンス」の株価データは、配当などの企業情報の更新が極めて遅いので注意が必要です。配当利回りを調べるのは、ヤフーファイナンスではなく証券会社のデータ等とも照らし合わせるべきですが、最も確実なのは、該当企業のHPでIR情報から拾い出すことです。IRでは「配当性向」の方針も述べられていることもあるので、その基準に照らし合わせれば、来期の減配リスクがどの程度あるのか予想が付くはずです。

もう一つ付け加えるなら、日本企業はアメリカ企業に比べて、そもそも配当利回りが低い上に、簡単に減配する傾向が強いです。アメリカではP&Gやマクドナルドなど、何十年にも渡って増配し続けている企業も少なくありませんが、日本ではそんな企業はまず見あたりません。

特にジャスダック・マザーズなどの新興市場銘柄は経営基盤が弱く業績変動が激しいので、日本株で高配当戦略を取る場合は、多少なりとも減配リスクの低い東証一部の大型株に限定して選定した方がよいでしょう。


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