株式投資ガイドブック from マネーガイドJP

金ETFの問題点

日本国内(東証・大証)にも2007年からETFが数多く上場されるようになりました。その多くが不人気で出来高もままならない状態ですが、数少ない例外が「金(ゴールド)」に投資する金ETFです。

金は株式市場や米ドルとは逆相関の値動きになりやすいという特徴があります。特にサブプライム危機以降は、アメリカの赤字拡大リスクからドルの価値が下落していくという思惑で、ドルからの逃避先である金価格は上昇傾向になり、2009年秋には史上最高値を更新しました。

これまで金投資は富裕層しか行えなかったのが、金ETFが上場されたことで、一般庶民でも小口(1万円程度)から投資できるようになり、人気となっています。

金ETFは2種類が上場されており、ひとつは東証のSPDRゴールド・シェア【証券コード:1326】、もう一つが大証の金価格連動型上場投資信託【証券コード:1328】です。上場したのは大証の1328の方が先で、出来高も圧倒的に1328の方が多かったのですが、最近では両者の出来高(金額ベース)は1日3億円前後とほぼ同程度になりました。

リンク債は保証となる金を保有していない

しかしこの金ETFには、ある大きなリスクが潜んでいます。問題点があるのは大証上場の1328の方で、このETFは現物資産を保有しない「リンク債(別名・ETN)」と呼ばれる形式の代物です。

東証の1326の方は現物の金を担保として発行しているETFなので、仮に発行元が破綻しても、原資産の「金」があるため投資資金は戻ってくる仕組みです。しかし大証の1328の場合はリンク債なので、リンク債の発行元(ノルウェーの金融機関なようです)が価格を保証する契約があるだけに過ぎません。仮にこのノルウェーの会社が経営破綻すれば、投資資金は一切返ってこなくなる恐れが高いのです。

実はこのリンク債・ETNは、1328金以外にも上海株ETF【1309】やブラジル株ETF【1325】など、2007年以降に発行された外国株や商品関連のETFの大半が該当します。つまりこれらのETFは、全て同じ問題点を抱えていることになります。そう簡単に破綻することは無いとは思いますが、投資する際はこのような潜在的リスクが潜んでいることを理解しておく必要があるでしょう。

少なくとも金ETFへの投資に関しては、問題のある1328ではなく、現物の金の裏付けがある1326・SPDRゴールド・シェアに投資すべきです。


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