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決算発表を他の企業と同日に行う理由

日本の上場企業は大半が3月末決算で、5月半ばまでに決算発表を行う義務がありますが、多くの企業が同じ日に発表を行っています。例えば2010年度は、東証の3月末決算企業の約3割の企業が5月14日発表にしています。

東証は「もっと分散してくれ」と要請していますが、企業の側は聞く耳を持たず、集中日に決算発表を行う企業は年々増えています。集中日は2006年度に200社程度だったのが、2010年度は508社にまで増加しました。この傾向は大証でも同様で、2010年度の集中日の発表企業は、史上最多だそうです。

何故、決算発表を他の企業と同じ日に行うのでしょうか?その理由は、マスコミや株主からの注目度を下げる為だと考えられます。

決算発表を受けて「売上が減った原因」だの「経費削減すべきでは?」だのと追求されて弁明に負われるのは、企業にとっては極めて面倒なことです。ですが他の大企業と決算発表日を併せることで、マスコミの目を少しでも欺くことが出来ます。集中日が生じる原因は、このような企業の保守的で後ろ向きな考えの表れでもあります。

株主総会の集中日も同様の理由

大半の企業の決算が3月末締めであることも、似たような理由です。個人事業主は12月末締めの3月末に提出(確定申告)とルールが定められていますが、法人は何月締めに行おうと自由です。

それでも日本の法人の8割以上が3月末決算にしている理由は、同時期に一斉に確定申告を行うことで、税務署のチェックが甘くなることを期待しているからと言われています。税務署の労働力は限られていますから、比較的手の空いている時期に決算を提出すれば入念にチェックされると予想されますが、3月末締めの企業は膨大にありすぎるので、自社に税務署の目が行き届かないことを期待しているからです。

また株主総会が同日に集中するのも、同様の理由からです。特に90年台後半までは「総会屋」がのさばっていたので、他社と同日にすることで総会屋の襲来を避けようという狙いがありました。

近年では、旧態依然の総会屋はほぼ壊滅したようですが、代わりに「物言う株主(アクティビティファンド)」が株主総会で会社に要求を突きつけるようになったので、結局は株主総会は特定の日に集中する傾向はさほど変わっていません。


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