株式投資ガイドブック | from マネーガイドJP | |
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J-REITの利益相反問題個人でも気軽に不動産投資が出来る「J-REIT」が登場して、はや10年が経ちました。2008年にはニューシティーレジデンスの破綻など、一時は市場全体が危機的状況に陥りましたが、2010年頃からは落ち着きを取り戻しました。REIT同士のの統廃合なども進み、各社の経営は大きく持ち直しました。 しかし、J-REITには依然として、ある大きな問題を含んだままなことも事実です。それは、親会社との利益相反問題です。 J-REITには、必ず親元となる不動産会社が存在します。そして、親会社がREITに売る不動産物件は、採算性が悪化した二流の物件ばかりではないのか?ということが、常に問題視されています。親会社の利益確保の為に、採算の悪い物件をREITに売りつけているのなら、親会社と「利益相反」の関係にあるといえます。本当に採算性が高いのなら、わざわざREITに売らずに親会社が自分で運営した方が儲かるはずです。 確かに、築数十年が経過しているビルが大量に含まれているなど、存在に疑問符が付くREITも少なくありません。しかし一方で、プレミアが付くような有名な物件を保有しているREITも存在します。 例えば、森ヒルズリート投資法人(証券コード:3234)では、「六本木ヒルズ森タワー」を始め、六本木周辺の有名ビルを所有しています。六本木ヒルズ森タワーは、かつてライブドアや楽天が、また現在はグーグルやゴールドマンサックスの日本法人が入居することで有名です。地下にはガスタービンの自家発電装置を保有しており、計画停電の影響を受けないという事で再度注目が集まっています。このように、全てのJ-REITが、親会社の「負債処理施設」と化しているわけではありません。 個人の不動産投資(サラリーマン大家)よりも有利また、利益相反問題だけを取りあげて「J-REITは投資するに値しない」と切り捨てるのは、少し早計です。確かに株式や外国債券など、他の金融商品と比べて、日本のREITが優勢か否かは判断が分かれる所でしょう。しかし、個人の不動産投資(俗に言うサラリーマン大家)と比べるのなら、ほとんどの場合でJ-REITの方が明らかに優位です。 個人が独自で不動産投資する場合には、情報力の無さ、資金力、リスクヘッジ(物件の分散化)、この3つが大きなネックになります。 J-REITが陳腐化した物件が多いといっても、個人がそれ以上に優良な物件を探す〜購入できるのかと言えば、明らかにNOです。日本の不動産市場というのは、極めて閉鎖的で、不動産屋と個人では情報格差があり過ぎます。一介の個人が不動産投資を始めようとしても、優良物件を探すどころか、不良物件を掴まされ「カモにされる」確率の方が高いでしょう。 またREITでは、物件単位で数十棟、部屋(オフィス)単位なら数百〜数千戸に分散投資していますから、空室や不慮の事故などのリスクも分散されています。ところが個人で投資できるのは、せいぜいアパート数件程度が関の山ですから、極めて高リスクな運用となります。 ロバート・キヨサキの「金持ち父さん、貧乏父さん」に感化されてか、日本でもサラリーマン大家を始める人は少なくありません。しかし彼のように、優良物件を大量に取得することは、個人投資家が簡単に真似できるものではありません。節税目的ではなく、単にインカムゲインが欲しいだけなら、個人で不動産投資するよりもJ-REITに投資する方が、全ての面において有利だといえます。
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