株式投資ガイドブック | from マネーガイドJP | |
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ゴールデンクロスの勝率は実はすごく低い株式投資で最もよく知られているテクニカル指標に「ゴールデンクロス」があります。ゴールデンクロスとは、長期の移動平均線を短期の移動平均線が上抜ける状況のこと。通常は長期は25日移動平均、短期は5日移動平均です。 ゴールデンクロスが発生すると、株価が上昇基調に転じたと見て取れるため、株価上昇のサインと言われています。実際にヤフーファイナンスなどに掲載される市況解説やアナリストレポートにも「日経平均がゴールデンクロスに入った」などと説明されることが少なくありません。 しかし実際には、ゴールデンクロスの後に株価上昇する確率は、5割を下回るという衝撃のデータがあります。斉藤正章氏の著書「勝率80%の逆張りシステムトレード術」には、1983〜2005年の全銘柄の「ゴールデンクロス⇒デッドクロスするまでの株価推移」の検証データが記されています。それによると、全81587回のゴールデンクロス後のパフォーマンスは、勝率33.9%という異常に低い確率でした。平均損益はプラス0.59%を記録しましたが、これは86〜89年や2005年の超上昇相場の時の貯金が効いただけで、それ以外の時期はマイナスになるケースが多いという統計結果でした。 つまり、日本で最も有名で「基本」とも言われているテクニカル指標が、実際には勝率は3分の1ほどしかなく、売買のタイミングを図るのにはほとんど役に立たないことになります。 効果がない理由は、先回りバイアスが働くからゴールデンクロスが機能しない理由は幾つか考えられますが、有名すぎることが仇となっていることが大きいと思われます。というのは、ゴールデンクロスはおそらく株式投資をする全ての人が知っている指標で、誰もがそれを意識してチャートを見ているはずです。すると、発生しそうな銘柄には先回りで売買する人が増えますから、指標として機能しにくくなるのでしょう。 これは、株主優待銘柄が権利落ち日の数日前にピークを付ける確率が高いのと、全く同じ理由です。優待銘柄が権利落ち日に向かって値上がりすることが、個人投資家にまで広く知れ渡ってしまったが故に、その動きに乗じて(権利落ち後は確実に株価は下落するので)直前に売り抜ける投資家が増えたためです。 また、前日のNYダウが暴騰すれば翌日の日経平均が「寄り天井」になりやすいのも、機関投資家だけでなく個人投資家の大半が、前日のNYダウが上がれば日経も上がる確率が高いことを意識して、先回りバイアスが働くことが理由です。 逆に斉藤氏の提唱した「25日移動平均乖離法」や、野田聖二氏の提唱する「景気ウォッチャー投資」などは、多くの投資家が強く意識しない指標だからこそ、その効果が持続しているのでしょう。有名すぎる指標・データというのは、皆に知られれば知られるほど先回りされるので、その効果は薄れてしまうのです。
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