マネーガイドJP〜保険・年金・医療費 | from マネーガイドJP | |
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薬の値段の決まり方病院で処方される薬(処方薬)には、薬価(薬価基準価格)が決められています。薬価とは、厚生労働省によって定められた薬の値段の事です。つまり、同じ薬を処方してもらうならば、全国どこの病院でも同じ値段になるのです。一方、ドラッグストアなどで購入出来る市販薬(一般用医薬品)については、薬価は適用されず、自由な値段で販売する事が可能です。 処方薬の値段の決まり方は、まず過去に類似の薬が無い方が高くなります(原価の約2.5倍)。これまでに類似の薬がある場合は、その類似薬の薬価が基準になります。その上で、薬にどれだけの効能があるのか、先進国の値段とかけ離れていないか、といった点がポイントに加味され、薬価が決められています。 また、薬には初めて開発された先発薬と、その先発薬の特許が切れた後に別のメーカーから発売されるジェネリック薬があります。ジェネリック薬は、先発薬とほぼ同じ成分で構成されている事から、研究開発費が安く済むため、最初に定められる薬価は先発薬の約70%までという決まり方です。 こうした薬価は、2年毎に見直される事が決まっています。近年、日本は少子高齢化が進んでおり、医療費の増大が問題となっています。その医療費を削減するため、基本的に薬価は2年毎に引き下げられます。そして、より医療費を抑えるために、厚生労働省はジェネリック薬への移行も推進しています。とはいえ、日本のジェネリック薬の普及率は約40%で、アメリカやヨーロッパ(60%以上)に比べると、まだまだ低い割合であるのが現状です。 薬価差益〜医師と薬剤メーカーの癒着ちなみに、薬価は病院が患者へ薬を販売する際に適用される制度であり、病院が医薬品メーカーから薬を仕入れる値段は自由です。この仕入れ値と薬価の差を薬価差益と呼びます。仕入れ値は病院と薬剤メーカーの交渉次第ですので、その事が医師とMR(薬剤メーカーの営業マン)との癒着を生む問題にもなっていました。 ですが、上記の通り薬価はどんどん下がっており、元の値段が安いジェネリックの普及も進んでいるので、現在では薬価差益は微々たる金額になっているようです。また、MRによる医師への過剰接待なども問題になり、規制も強まってきた為、今後は薬価差益は更に縮小していくと予想されます。 日本製薬工業協会によると、一つの薬を開発するためには、平均で10年以上の歳月と、200億円程度の研究開発費が必要と言われています。しかも、薬はその効能や安全性など、様々な基準をクリアしなければ承認されないため、実際に販売まで漕ぎ着けられるのは、わずか6000分の1程度しかありません。医薬品メーカーにしてみれば、これだけ苦労して開発した薬が、厚生労働省によって勝手に値段を決められる事を理不尽に思うかもしれません。 しかし、日本には国民皆保険制度があります。国民皆保険とは、国が全ての国民に対し、必要最低限の診療を受けられる事を保障する制度です。病院で使われる薬のほとんどは保険の対象となっており、患者の医療費負担は3割で済んでいます。ゆえに、薬の値段は厚生労働省が決めておく必要があるのです。
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