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マンションの修繕積立金は将来必ず値上がりする!

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マンションを購入した場合でも、毎月「修繕積立金」というコストが必要になります。修繕積立金とは、マンションの廊下、エレベーター、駐車場など、住人の共有スペースを修理・メンテナンスするための費用の事で、管理組合がそのお金を管理します。

マンションでは「区分所有法」という法律が定められており、賃貸か分譲かに関わらず、全住人が修繕積立金の支払い義務が生じます。修繕積立金の金額は、住人毎に差が出ないようになっているため、一階に住んでいるのでエレベーターは使わない、車は運転しないので駐車場は利用しない、という人であっても、その分修繕積立金が安くなる事はありません。修繕積立金の相場はマンションの大きさや築年数などで変わりますが、月額1万円程度が一つの目安です。

この修繕積立金、実は大きな注意点があります。金額が入居後ずっと一定ではなく、将来的に必ず値上がりする仕組みだという事です。この事実を理解していないと、入居後に予定外の出費でお金に困る事になりかねません。

不動産に関する様々な情報を取り扱うサイト「LIFULL HOME'S」が、2017年にマンション住人を対象に行ったアンケートによると、修繕積立金が『上がった』と回答した人は約43%でした。残りは『変わらない』と答えていますが、これは築年数が若いマンションが多いことが理由です。築年数別に見ると、築20〜30年のマンション住人では、約3分の2の人が修繕積立金が上がったと答えています。月日が経つ程に、修繕積立金は値上がりしていく傾向にあるのです。

国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDFファイル)」を定めています。例えば、新築マンションの修繕積立金の当初設定額は月額平均7006円となっています。しかし、これはあくまでも目安でしかなく、この金額以上の修繕積立金が必要な場合もあります。また、修繕工事の実施時に修繕積立金だけでは足りず、一時金の徴収や、金融機関からの借り入れを行ったマンションの割合も約21%あります。こうしたデータからも、修繕積立金が値上がりする可能性は高いと言えます。

修繕積立金が将来必ず値上がりする最も大きな理由は、最初はあえて安く設定しているマンションが多いためです。販売会社はできるだけマンションの入居者を増やしたいので、販売当初は修繕積立金が高額に設定されるケースは少ないです。逆に言うと、将来値上がりするのは暗黙の了解、規定事項だとも言えるのです。

マンションに空室が増えると修繕積立金の負担も増加する

そして修繕積立金は、マンションの入居者が減ると一人当たりの負担が増えることも、値上がりしていく原因です。住人の数に関わらず、修理やメンテナンスに掛かる費用は基本的に同じです。売れ残りや退去者などで空室が増えると、その分の費用を他の住人で補う必要があるので、各住民の修繕積立金が上昇するのです。

築年数が30年を超える古いマンションでは、空き部屋が増えて『修繕積立金が当初の2倍以上に増えた!』という驚きの口コミも聞かれます。ゆえに賃貸マンションを借りたり、中古マンションを購入する場合には、入居率が減っていないのか確認しておく事が重要になります。

なお、総務省の調査では、2013年時点の日本の空き家率は13.5%となっています。しかも今後は、日本の人口が減していく事は確定事項なのに、マイナス金利政策の影響で都市部〜特に東京では不動産バブルが起きており、空き家は将来的にさらに増加していくと見込まれます。全国の空き家率は、2033年には30%に達すると予測されています。このようなマクロ経済的要因がある事で、将来的にマンションの入居率が減っていく可能性が極めて高いので、修繕積立金が将来値上がりしていく事はほぼ確実な未来なのです。


※出典;全国の空き家率の推移と将来予測(日本と世界の統計データ)

近年では大半のマンションで長期修繕計画が設定されているので、購入前から確認する事が可能です。長期修繕計画には、○年後に××の修繕を予定していて、そのための費用がどれぐらい掛かる〜などの情報が記載されているので、これを確認する事で修繕積立金の値上がり具合が推測できます。ただし、この計画も甘めに設定されるケースが多いので、あくまで「最低ラインはこの位かな」という程度の目安に留めるべきです。

マンションの修繕積立金は必ず値上がりしていく!まとめ
・最初は修繕積立金を安く設定して入居者を集めるケースが多い
・空室が増えると、住人一人当たりの負担が増える
・購入前には長期修繕計画を確認する事が重要

最後にもう一つ。マンションは駐車場タイプによって、修繕積立金の支払額、そして将来の値上がりリスクが大きく変わります。機械式駐車場(昇降機を利用した縦2段以上の駐車場)は修理やメンテナンスに百万円以上の費用が掛かるケースもあり、修繕積立金が高額に設定されています。しかも、それでも足りない事態に陥る可能性もあるので、平屋の駐車場より値上がりリスクは遙かに高いので注意すべきです。

そして駐車場を一切利用しない住人であっても、この機械式駐車場の修繕積立金を支払わされる事にも注意です。車を持っていない人も、駐車場のタイプを確認しておく事は必須です。

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