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日銀のマイナス金利で不動産バブルが再来する

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2016年2月、日銀がマイナス金利を導入した事で、金融市場が激動しています。国債の鞘抜きで利益を上げていたメガバンクやゆうちょ銀行グループの株価が暴落する一方、理論上は円安に誘導されるはずの為替レートが、世界経済の不安が原因で円高に進むなど、大混乱が生じています。

マイナス金利は、世界でも2015年にスイスやドイツで導入された事が初めてであり、人類史上未曾有の領域です。今後、経済にどのような影響が及ぶのか?事例が少なすぎて誰も読めない事が、金融不安を増長しているのです。

しかし確実なことは、日銀のマイナス金利により、金融機関が介在するほとんどの場面で、金利が下がっていく事です。事実、マイナス金利発表直後から、早くも住宅ローン金利や定期預金の金利などが低下し始めています。そしてこの低金利が生む未来予測として、日本で不動産バブルが再発する事が挙げられます。住宅ローンを組む人や、個人投資家の人は、このバブルが拡大する流れに注意しておく必要があります。

不動産バブルが起きる理由は、銀行が収益悪化を避けるために不動産向け融資を増やしているからです。日本でも既に長期金利がマイナスを付けており、銀行は国債の鞘抜きで利益を上げる事はほぼ不可能になっています。特にUFJ・三井住友・みずほの3メガバンクは、リーマンショック以前から融資業務を縮小し、収益の大半を国債のトレードで得ていました。この収益源がマイナス金利で失われ、メガバンクは経営危機に陥っているのです。

よって、他の収益源を伸ばすしかないのですが、リテールビジネスの柱である住宅ローンも低金利競争が増々激しくなるので、増益は難しいです。一方、カードローンやクレジットカードは金利を引き下げる必要が無い商品ですが、これ以上収益を増やすには、貸し倒れ率の高い顧客・ブラックな顧客にも貸さざるを得ないので、リスクが高まるだけで利益はあまり増えません。

という銀行側の内情により、今後は不動産融資が増えていく可能性が極めて高いのです。2015年は訪日外国人観光客が2千万人と過去最高を記録し、この勢いは最低でも東京オリンピックまでは続くので、ホテルやショッピングモールなどの不動産開発は増加しています。銀行がこの流れに乗り、国債の鞘抜きに変わる収益源として、不動産融資を拡大させているのです。2015年末時点での日銀統計によると、民間銀行の不動産業向け融資残高が、18年ぶりに過去最高を更新したと発表しています。

この融資増加が原因で、1980年代後半のような不動産バブルが、日本で再び発生する可能性が高まっているのです。日銀が利上げに転換するタイミングが遅れれば、民間銀行が採算性の低い不動産プロジェクトに融資し、再び不良債権の山を築き上げるリスクは大いにあるでしょう。

ちなみに1980年代の不動産バブルは「皇居の地価がカリフォルニア州全体の地価より上」「日本全土の地価はアメリカ全土の4倍以上」などと言われたほどで、土地転がしで儲けた西武の堤義明氏が世界一の大富豪に躍り出ました。

個人は不動産バブルをどう利用すべきか?

では一般の個人投資家が、この不動産バブル再来を利用して儲かる方法は無いのでしょうか?土地転がしは資産家でないと無理ですが、一般人でも実戦可能なものを検証してみます。

まず株式投資では、銀行〜特にメガバンクへの投資を控える方が賢明です。一方で、不動産開発企業やREIT(不動産投資信託)などは、マイナス金利の恩恵で低金利で資金調達できるようになり、ビジネスを加速させるチャンスが広がっています。但し注意点もあり、例えばREITの分配金利回りは既に3%程度と史上最低レベルまで下がっており、投資妙味は薄れています。

そして、現物不動産への投資(いわゆる大家業)を行う事は、最も注意が必要です。融資審査が甘くなったり金利が安くなったりしても、物件が空室だらけなら本末転倒です。日本では少子高齢化により、年々空き家率が増えており、2013年時点で13.5%にものぼります。


(出典;総務省統計局HP

このように不動産バブルが起きていても、マクロ経済的には不動産需要は縮小バイアスが圧倒的に強いのです。シノケンがサラリーマン大家のテレビCMを行うなど、不動産投資ブームが熱いですが、完全にバブルの領域に差し掛かっており、極めてリスクが高い投資だと注意すべきです。

結局、一般国民にとってはマイナス金利による不動産バブルなど、別世界の話だと割り切る事がベターです。一般人が恩恵に与れる方法では、住宅ローンを低金利なものへ借り換えることが、最も有効です。但し、日本は財政的にいつ金利が急騰してもおかしくないので、借り換えは固定金利のみにすべきです。変動金利や10年固定などへの借り換えは、将来的に金利急騰で破産するリスクが高いので、止めておく方が賢明です。

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