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住宅の10年保証をあてにしてはいけない理由

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マイホームを建てる際、欠陥住宅を気にする人は多いでしょう。家の基礎や壁の内側や屋根裏など、素人ではちゃんと建てられているのか判断はつきません。ホームインスペクションで専門家に診断を仰ぐと、料金は最低でも5万円以上掛かるので、気軽に頼むわけにもいかないです。

そんな買い手と売り手の情報格差を埋めるために作られたのが、住宅の10年保証という制度です。マイホームを建てた場合、その家には住宅品確法(正式名称:住宅の品質確保の促進等に関する法律)が適用されます。住宅品確法とは、2000年4月から施行された制度で『売主や施工会社は新築の家に10年間の保証を義務付ける』という内容の法律です。住宅品確法で保証される欠陥部分は「基礎」「柱」「床」など家の構造上の主要な部分と、雨水の浸入を防止する「屋根」や「外壁」が該当します。

例えば家に住み始めた後に、雨漏り、キッチン・お風呂・トイレなどの配水管の水漏れ、家の傾きなどが発覚した場合には、買主は施工会社などに対し、無料での修理依頼や損害賠償の請求などが出来るようになっています。

しかしこの10年保証、実はあてにしてはいけない制度です。理由は言うまでもなく、施工会社にとっては修繕コストが発生するので、欠陥住宅である事を中々認めようとしないからです。「多少家が傾いていても生活に支障はない」などと主張し、保証を延ばし延ばしにして、10年の期限が切れるのを待つのが狙いです。

実際に住宅品確法の基準では、例えば家の傾きの場合は『6/1000以上』でないと保証の対象と認められないケースが多いです。6/1000の傾斜とは、10メートル間で床面が6センチも高低差があるという事であり、ここまで極端な傾きがある欠陥住宅はまずありません。こうした理由から、住宅にある程度の欠陥があった場合でも、保証され内ケースが多いので、注意が必要です。

仮に施工会社がミスを認めて修繕になったとしても、修理期間中はその家で生活できない場合もあるので、買主のデメリットがゼロで済むケースは本当にまれです。

住宅瑕疵担保履行法も、保険会社の払い渋り問題がある

また10年の保証期間内でも、施工会社が倒産している可能性もあるので、損害賠償の請求が出来ないというケースもあって問題となりました。買主がこうした事態に陥らないために「住宅瑕疵担保履行法(じゅうたくかしたんぽりこうほう)」が制定されました(瑕疵=欠陥の意味)。

この法律は、2009年10月1日以降に引き渡す物件を供給する施工会社は「保証金の供託」または「保険契約の締結」を行い、確実に買主への保証を出来るように義務付けるという制度です。よって施工会社が倒産した場合でも、買主は保険会社に保険金の請求、もしくは補修費用の還付請求が出来るのです。

しかし、住宅瑕疵担保履行法で保険が使えても、保険会社がすんなり支払いに応じるとは限りません。施工会社が保証を渋るのと同様、保険会社も保険金を払い渋りした方が、自社の利益が増えるからです。実際のところ、雨漏りは欠陥が明白なので保険金が支払われる場合が多いですが、家の傾きなどは保証の対象外と言われ、払い渋りに合うケースが多いようです。つまり、保険が付いていても、やはりあてにはならないのです。

なお、住宅品確法や住宅瑕疵担保履行法で保証されるのは、あくまでも建設の不備による欠陥だけです。例えば害虫の被害も、施工直後ならともかく、何年も住み続けていれば白アリやネズミなどの害虫・害獣が発生するのは当然なので、保証は下りない事が大半です。

住宅の10年保証をあてにしてはいけない理由!まとめ
・施工会社は欠陥を中々認めようとしないのが理由
・仮に保証されても修理期間中はその家で生活できない場合もある
・住宅瑕疵担保履行法も、保険会社に払い渋りに合う問題がある

このように、10年保証は法律として定められてはいるものの、買い手が十分に保護されているとは言い難いのが実情です。ゆえに、どうしても欠陥住宅が心配な人は、そもそも家を購入するという判断が合っていないので、一生借家で過ごす方が良いでしょう。日本では空き家率が年々上昇しているので、将来的には圧倒的に家の借り手が有利な状態が続くはずですから。

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