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FXのバーチャルトレードは役に立たない

FX会社によっては、いきなり実際にお金を掛けて投資するのに抵抗のある人向けに、バーチャルトレード(デモトレード)という仮想売買システムを備えているところもあります。デモトレードは実際にお金を掛けないシミュレーション投資なので、まずは為替相場に馴染んでもらい、自信が付いたら本当に投資して下さいね、というのが業者の狙いです。

しかし、FXのバーチャルトレードは、為替トレードのシミュレーションとしてはあまり適切とは言えません。はっきり言ってしまうと、バーチャルトレードで為替相場に慣れても、実戦では役に立たないです。

バーチャルトレードが無意味だという理由は、常に投資家の都合の良い価格で約定できるからです。例えば円売りドル買い取引を行っていて、現在1ドル=100円だとしましょう。そして95円以上に円高が進んだらロスカットするという注文を出したとします。バーチャルトレードでは、為替レートが95円まで円高になれば、95円でロスカットが出来たとしてシミュレートされます。

一方で実際の為替FXでは、相場が95円になればロスカット注文は出されますが、それが実際に約定するかどうかは分かりません。為替相場は株式などと同じで、買い手と売り手の注文が一致して初めて約定が決まります。また先に注文した人が優先される、指値注文より成行注文が優先される、などのルールもあります。そのため、95円でロスカット注文したが、実際に約定したのが94.7円だった・・・とかいうように、想定よりも不利なレートで約定する可能性があるのです。

これは俗に「スリッページ」とか「すべる」と言われる現象です。さすがに1円単位で約定価格がすべることは無いですが、わずか数銭の不利でも、FX投資家の多くはレバレッジを掛けているので、実際には数パーセントの損失に相当したりします。

特に為替相場が大きく動く指標発表の時(米国のFOMCや雇用統計、日銀政策決定会合や日米のGDP統計など)は、市場予想と指数が乖離していた場合、為替相場が一方的な円高(もしくは円安)に動きます。このような時には、注文が円買いや円売り一辺倒に偏るので、個人投資家の出すFXのロスカットや利食い注文が想定通りの価格で約定しない可能性が高いのです。米ドルのような流動性の高い通貨はスリッページも少ないですが、ニュージーランド・ドルとか南アフリカ・ランドのようなマイナー通貨では、約定価格がすべることも多いです。

実戦のFXでは約定価格がすべる事もある

なお、約定価格のスリッページは、常に投資家に不利な方に発生します。つまり、想定よりも有利なレートにすべってくれて得をした・・・なんてケースは基本的に発生しません。その理由は、FXが投資家と業者との相対取引であることに由来します。

このような理由から、実際のFXではバーチャルトレードのようにすんなり思惑通りの価格で約定しない事が多いので、バーチャルトレードでは大きく儲かっていたのに、実際にお金を掛けてFXをした途端に勝てなくなる、という現象が起きるのです。ましてや実際にお金を掛けて投資すれば、損したくないという心理的プレッシャーも生まれます。ですからバーチャルトレードは、あらゆる意味でシミュレーションとしての条件が甘すぎるので、実戦では役に立たないのです。

FXで自信を付けるには、実際に投資して経験を積むのが最も有効です。バーチャルトレードでいくら儲かっていても、所詮は絵に描いた餅に過ぎず、実戦の場ではほとんど役に立たないです。リスクが怖いなら、レバレッジを掛けずに投資し、米ドルやユーロなど約定価格がすべる事が少ないメジャー通貨から試す方法が最適です。

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