HOME > カジノ法案 > 関東圏のカジノが横浜になる理由は菅官房長官
IR議連によると、カジノを含めたIR特区は、全国を10に分けた各地域に一つにするのが原則とするようです。首都圏など人口の多い地域に集中して作る方が収益性は高いでしょうが、IR特区は地域振興の意義が強いので、東京周辺ばかりにカジノを作っても意味がありません。
従って関東圏(東京周辺)にも当面は「一つだけ」しかIR特区は作られないようです。そしてその場所は、首都・東京都内ではなく、横浜市〜山下埠頭になりそうな情勢です。
観光立国化を推進する第二次安倍政権、そのナンバー2の座に居る菅義偉(すが よしひで)官房長官が、地元・横浜にカジノを誘致する為に奔走しているからです。菅官房長官と関係が深いとされる地元・京浜急行や、横浜財界の雄と言われる藤木幸夫氏、そして林文子現市長などもカジノ誘致に積極的です。横浜市もプロジェクトチームを発足させるなど、政財界一丸となってカジノ誘致の準備を着々と進めています。
山下埠頭は、訪日観光客の玄関口である羽田空港から近く(30分程度)、また東京駅からも電車で1時間ほどです。神奈川県庁のお膝元で、中華街や横浜スタジアムなどの観光スポットもすぐ側にあります。周辺にはロイヤルパークホテルを筆頭に、既存の宿泊施設も多く、観光地としては既に確立されています。そんな山下埠頭が再開発で更に交通や宿泊の利便性が高まれば、カジノを開業しても成功がまず間違いない状況と言えます。
一方で、本来なら関東圏に一カ所だけカジノを作るのであれば、東京都内であるのが自然です。東京は石原慎太郎元知事が、1999年の初当選の頃より「お台場にカジノを作る」という構想を掲げていたくらいですから、本来なら大本命であるはずです。
しかし東京都内にカジノ・IR特区が作られる可能性は、投稿執筆時(2017年5月)には限りなくゼロに近いです。小池百合子知事は、元々IR議連のメンバーでありカジノ誘致に前向きでしたが、二つの理由で立候補に手が回らない状況です。一つは東京都政が豊洲市場問題で紛糾している事、もう一つは東京オリンピックの準備に追われて誘致に割ける労力が無いためです。
これは何も、小池知事が都議会で自民党勢力の破壊(=自らの権力拡大)の出汁に豊洲問題をブチ上げている「小池劇場」だけの責任ではありません。先代都知事の舛添要一や猪瀬直樹らが数々の不祥事によって都政を崩壊させたこと、また彼らがカジノ誘致に関心が薄く後れを取っていた影響も大きいです。
豊洲問題や小池派VS自民党都議連の戦いはいずれ決着を迎えますが、その先には2020年の東京オリンピックという一世一代の巨大イベントが控えています。東京都の議員・職員達が、カジノ誘致に労力を向ける余裕は無いでしょう。
というのも、オリンピック開催の影響で玉突き的に多くの問題が起き始めているからです。例えば、日本最大の見本市会場である東京ビッグサイトが、オリンピックとその前後の期間にプレスセンター等で利用されることになっており、例年行われる各種イベント・見本市が開催できない事が、大きな問題となっています。
★関連外部サイト;2020年会場問題|署名特設サイト
他にもカヌーやゴルフなど競技会場が二転三転して紛糾したり、様々な経費が遙かに予算オーバーな事が判明するなど、抱える問題は山積みです。本番までの約3年半は、都政も都の職員もその対応に追われる事で手一杯なのが目に見えており、カジノ誘致は難しい情勢なのです。
関東圏のカジノは横浜・山下埠頭になる理由まとめ
・カジノ(IR特区)は当面、地域に1箇所のみの予定
・横浜は林文子市長や、安倍政権の中核・菅官房長官が誘致に積極的
・東京は小池都知事の政争やオリンピック準備の影響で手が回らない
将来的に、IR議連が原則と掲げる「地域に一カ所」という縛りが解ければ、東京都にカジノが作られる可能性は高いでしょう。しかし、2018年までに選考予定の第一次建設地争いでは、東京都が関東圏の立地として当選する可能性は限りなく低く、菅氏の思惑通り横浜・山下埠頭になりそうな情勢です。
筆者個人的には、それで良いのでは?と考えます。現在の日本の経済・社会は、あまりにも東京の一極集中が進みすぎです。観光施設を適度に分散させる事が有効なので、東京ディズニーランドが千葉県にあるように、カジノ特区が横浜に作るのも良い考えでしょう。