HOME > カジノ法案 > 二階幹事長の陰謀が大阪カジノを阻む?
関西圏でのカジノの場所は、大阪府が大本命です。橋下徹氏が府知事の時から「経済活性化の為にカジノ建設を!」という構想を掲げていました。安倍総理と橋下・維新の会は、憲法改正などでも意見が合っていたことから政治的結び付きが強く、大阪府のカジノは半ば確定事項だと見られていました。
ところが投稿執筆時(2017年5月)、大阪で決まりだとも言えない情勢になっています。橋下氏が政界から引退したことで大阪の発言力が弱まったことだけではありません。自民党・二階幹事長の選挙区である和歌山県も、カジノ候補地として立候補を表明しているからです。
二階氏はIR推進法案が成立する以前から「和歌山にカジノ特区を誘致したい」と発言していました。候補地は南紀白浜など複数地がありましたが、2017年5月に海南市の近くの「和歌山マリーナシティ」に統一すると、和歌山県の仁坂知事が決定しました。これで、二階氏と和歌山県が連携して、本気でカジノ誘致に動く事になりそうです。
※和歌山マリーナシティは和歌山市の最南端で、立地的には海南市と言って良い場所です。ヨーロッパの街並みを再現したポルトヨーロッパ、マグロをテーマパークにした黒潮市場、などとホテルが隣接しています。地方リゾートのご多分に漏れず入場者数は伸び悩んでおり、2016年3月よりポルトヨーロッパの入園料を無料化しています。
地元である二階氏は、誘致したカジノを観光の目玉にすることで経済を活性化させ、和歌山の産業界に恩を売ることで、選挙区での立場を強固にしたい陰謀だと見られます。
二階氏といえば、歴代の自民党幹事長に比べて「明らかに小物だ」という口コミが多いです。確かに竹下登や小沢一郎や森喜朗など歴代の幹事長と比較すれば地味な存在です。また、自民党内で二階派(志帥会)自体も大勢力とはいえない数なので、二階幹事長の権力など知れている・・・と思われがちです。
しかし、何の実力もないのに与党=自民党の幹事長になれる訳がありません。衆議院11期という屈指の多選議員であり、大臣も複数回経験があり、自民党の総務会長や選挙対策局長なども務めた、錚々たる経歴の持ち主です。存在感・知名度的に地味なだけで、二階氏の各方面への影響力は大きいです。
その典型が、2017年5月16日に訪問した中国で、習近平国家主席との会談に取り付け、日中首脳会談の開催に向けた地ならしを行ったことです。親中派で知られる二階氏とはいえ、日中関係が悪化している現在「習近平と直接会うのは難しいのでは?」という専門家も少なくなかったにも関わらず、二階氏はこの難仕事を成功させたのです。
二階氏は「与党の幹事長」とはいえ、安倍政権の閣僚ではないので、日本国政府とは直接関係ない立場です。日本の官僚を上手く使い、中国共産党に対する裏での「根回し」が無ければ、習近平との会談にこぎ着ける事など出来るわけがないのです。二階氏は地味で権力の源泉が見えにくい人物ですが、政治家としての手腕が相当な手練れである事は間違いありません。
そんな権力を持つ二階氏が本気でゴネれば、関西のカジノが和歌山になってしまう可能性もゼロではないでしょう。
あえて「ゴネる」と書いた理由は、関西圏のカジノを大阪ではなく和歌山に作るのは、日本経済にとって明らかにマイナスなことは間違いないからです。和歌山にIR特区を作るとなれば、コンベンションセンターを併設するMICE型は不可能なので(和歌山では国際会議や大型イベントは絶対に誘致できないので)、必然的にリゾート型IRとなります。
しかしリゾート型IRを成功させるには、カジノ単体の集客力ではなく、その土地特有の名物や観光スポットと連携して、総合的に魅力ある施設にすることが不可欠です。
しかし、和歌山の観光は自然スポットが中心なので、カジノと上手く連携できるものは見あたりません。例えば世界遺産=熊野古道とカジノでは、立地も客層もまるで異なりますから、相乗効果を生む事は無いでしょう。
何より和歌山マリーナシティは、観光客を呼び込むには立地も悪すぎます。「関西空港から近い」などと間違った口コミもありますが、関空からは直通列車は無く、最寄りの海南駅からの乗り換えも含めれば1時間半以上掛かります。そして他の地域から和歌山入りするルートも、電車は本数が少なく、高速道路もわずか、県内唯一の南紀白浜空港は一日数便しかなく、しかもマリーナシティへはバスと電車を乗り継ぎ約2時間もかかります。
つまり、和歌山にカジノ(リゾート型IR特区)を作ったとしても、失敗する可能性が極めて高いのです。大阪にIR特区を作れば成功間違いないのに、あえて和歌山にしたところで、潤うのは建設に関わる地元の土建屋などと二階氏自身だけです。大阪の経済会が一枚岩でないとはいえ、このような横暴に黙っているとは思えません。
二階氏は政治家としては相当な実力者ですが、竹下や小沢のように党のカネを全て握っているわけではなく、また自民党の派閥の力も衰えています。安倍総理が本気で日本経済の浮揚を考えるなら、78歳と政治家生命の終わりが見えている二階氏の陰謀など封殺し、関西のIRは大阪に決めるよう仕向けることが不可欠です。