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シンガポールは日本が参考にすべきIRの成功国家

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カジノを含めたMICE機能を備えたIRリゾートとして、日本が最も参考にすべき成功例が、シンガポールです。同国が取った「国際ハブ都市化」は、日本も真似できる戦略です。

日本の南〜ユーラシア大陸の南端に位置するシンガポールは、面積が東京都の3分の1程度、人口が560万人程度という小国です。そのため食料やエネルギーは言うまでもなく、飲料水すら隣国=マレーシアから輸入しているという、脆弱な国家基盤が長年の課題です。

同国にはシンガポール航空やシンガポールテレコムなど、アジア各国に展開して成功している企業は多いですが、裏を返せば経済の大半が外需頼みな国でした。シンガポールにとって、いかにして国内で金を稼ぐのかというのは、建国以来の最大の課題でした。ゆえに建国の父と言われるリー・クアンユー首相やその息子リー・シェンロン首相は「開発独裁」の政治体制で国家を国際ハブ都市とする事で打開を図りました。

ハブ化の一つが、物流や人の流れの拠点になる事でした。シンガポール港は近年、コンテナ取扱量が世界二位となっています。小国なのにそれだけの取扱量がある理由は、ほとんどが積み替え需要であること。つまりシンガポールが目的地のコンテナだけでなく、日本や中国などの東アジアと中東やアフリカ・ヨーロッパの物流拠点として機能しているのです。

また同国のチャンギ空港は、様々な調査会社・サイトの「世界のベスト空港ランキング」で上位に位置しています。例えば、スリーピング・イン・エアポートのランキングでは20年連続1位、スカイトラックス社の調査では5年連続1位となっています。乗り継ぎの利便性や入出国の手続きのスピードが優れている、などで国際的な優位性を出している事が成功の要因です。

そしてもう一つのハブ化は、企業やビジネス機会の誘致です。シンガポールは「タックスヘイブンだ」とも揶揄されるほどの様々な優遇税制や、行政汚職を徹底的に取り締まることで、海外からの企業誘致に成功。世界銀行の「最もビジネスを行いやすい国」ランキングで、シンガポールは1位に選ばれています。

マリーナベイサンズなどMICEでも成功

そして更なる企業誘致の手段だったのが、国際会議・展示会などを誘致するMICE機能の強化です。総面積12万平米(東京ビッグサイトの1.5倍)という巨大なコンベンションセンターと共に、豪勢なホテルや劇場、そしてカジノを併設し、ビジネス客の誘致に力を入れたわけです。ビルの屋上にプールを設けた「マリーナベイサンズ」は日本でも有名になりましたが、あのホテルもMICE機能の一つな訳です。

マリーナベイサンズ
↑世界一高所にある(地上200m)マリーナベイサンズのプール

このように国家を国際ハブ都市としたことで、マーライオン程度しか名物がなかったシンガポールが、人口の2倍以上という1200万人の観光客(2015年)を集め、アジアでも屈指の先進都市として生まれ変わったのです。シンガポールの一人当たりGDPはおよそ5万3千ドルで世界10位(日本の1.3倍)にまで成長しています。

日本のIR法案が見習うべきは、この世界最大のMICE成功国家であるシンガポールです。カジノはあくまで観光ツールの一つで、ホテルや劇場やコンベンションセンターなど、総合的に魅力ある施設を集中立地することで、観光客を獲得することが重要なのです。

一部に「シンガポールのような小国と日本のように人口が多い国を比べても無意味だ」と批判的な専門家の声もあります。確かにマクロ経済的に見れば、日本とシンガポールでは国家規模が違いすぎますし、シンガポールが人民行動党の一党独裁だからこそ出来た成功なのは事実です。

しかし、例えば「大阪」とか「沖縄」といった一都市の政治・経済で見れば、シンガポールを真似することは可能です。大阪は橋下徹氏が去ってからも、維新の会が圧倒的な議席を得ています。松井府知事がリーダーシップを取って、IRリゾートの開発に一丸となれば、シンガポール並の成功を収めることは十分可能です。

沖縄県などは、置かれている環境はまさにシンガポールと瓜二つです。小さな経済圏で資源に乏しく、観光で外貨を獲得するしか生きる道がない・・・沖縄こそ、シンガポールを見習ってIRで活路を開くべき都市なはずです。

実はシンガポールでも、当初はカジノ建設に反対意見も多数ありました。しかしリー・シェンロン首相が「真の目的は観光客の増加であり、カジノという一部分だけで可能性を消すべきではない」と一蹴し、IRの建設(MICE化)を推し進めました。一党独裁政治だからこそなせる技でしたが、観光客の減少で危機感があった事、そしてリスクを取って将来へ投資した事が、今日の成功に繋がった訳です。少子高齢化で経済衰退が加速する日本は、シンガポールを見習ってIRリゾートで活路を見いだすべきだと思います。

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