HOME > カジノ法案 > カジノの経済効果は毎年5兆円!?
カジノ(IRリゾート)を建設する目的は、投資や消費による大きな経済効果が期待できるからです。では日本におけるカジノの経済効果はどの位でしょう?ネットでは混同した情報・誤った口コミが氾濫しているので、整理してみたいと思います。
まずカジノの経済効果を語る際、最初に施設を作る際にかかる初期投資のお金「建設投資効果」と、毎年のカジノの売上である「直接経済効果」およびそれに関連して消費が喚起される一次・二次効果まで含めた「最終波及効果」を分けて考える必要があります。
まず、そのモノを作る(イベントなら開催する)際に直接必要になる「建設投資効果」についてです。カジノや会議場やホテルなどIR施設と、そこに繋がる道路や鉄道などの交通インフラの整備などが相当します。各地の政治家が、地元へのカジノ誘致に躍起になっている大きな理由でもあります。各地の土建業者は、票田であり献金源になるからです。
シンガポールが、マリーナベイ地区の統合型IRリゾートを建設した際、投資額は57億米ドル(約6000億円)でした。みずほ総研が2014年に試算したデータによると、東京にカジノを含む統合型IRリゾートを作る場合、建設投資効果は約1兆円とのことです。また経団連は、設備建設の投資が5600億円、整備事業が9300億円と更に巨額の試算を出しています。
但し、建設投資効果は最初に作る際の一度きりに過ぎません。本当に重要なのは毎年のIR施設での消費額(カジノで客が使うお金など)で、これが本来の意味での経済効果です。更に、IR施設で消費されたお金は、その企業のビジネスで再投資されたり、従業員の給料となって日常生活で再び消費されます。このような一次・二次波及効果も含めた、最終的な経済波及効果は更に大きくなります。
英国のオックスフォードエコノミクスが発表したレポートによると、IRで生み出される雇用は東京圏で3万4500人・大阪圏で2万6000人、周辺地域への波及(間接雇用)まで含めると、東京は10万3000人・大阪で7万7500人と算出しています。彼ら従業員への給料を通じて、地域の経済活動が更に活性化されるのです。
アメリカの例(※2)に習うと、最終的な経済波及効果はカジノの売上の2.5倍ほどになるようです。日本で建設されるカジノは、ホテルや劇場やショッピングモールなども併設される「IR型リゾート」なので、経済波及効果は大きいです。アメリカがカジノ売上の2.5倍な訳ですから、最低でも2倍、アメリカ並なら2.5倍が期待できる訳です。
※2;カジノの売上が346億ドル、ホテルや劇場など付随施設での消費151億ドル、合計497億ドルが直接の波及効果。従業員の給与などで再消費される二次波及効果まで含めると、1257億ドルと2.5倍以上になる(2010年、米国ゲーミング協会調べ)。
日本でのカジノの売上推計は、IR議連の提案のように全国10地域に作られた場合、年間2.2兆円と見積もられています。この数字は、同じギャンブル産業であり、全国10箇所に競馬場を持つJRA(日本中央競馬会)の売上が年間2兆円程度である事と比較しても、妥当な推計と言えます。つまりカジノ売上から推計するIRリゾートの最終的な経済波及効果は、年間4.5〜5兆円と見積もられる訳です。
カジノの経済効果まとめ
・施設を建設する初期投資効果は、東京圏だけでも約1兆円(一度きり)
・全国に10箇所のIR特区が生む経済波及効果は年間約5兆円(恒久的)
様々な機関・団体がIRリゾートの経済効果を出しており、1兆円台から8兆円などと幅がありますが、当サイトでは「4.5〜5兆円」を二次波及効果まで含めたトータルの経済効果とします。2016年度の日本のGDPは約537兆円でしたから、全国にIR特区を作ればGDPを約1%押し上げる効果が期待できる計算です。
しかもこの経済効果は、オリンピックや万博の開催といった一時的なものではなく、恒久的に毎年生まれるのがポイントです。日本経済にとっては、東京オリンピックなどよりもカジノ・IR特区を作る事の方が、遙かに有効な景気対策となる訳です。