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バーデンバーデン〜日本の地方IRが参考にすべき成功事例

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バーデンバーデンは、ドイツ南西部〜フランスとの国境に近い山間部にある、人口5万4千人という小さな街です。しかしバーデンバーデンは、その街古来の観光スポットとカジノを連携して評判を高めた、田舎の観光地としての理想的な成功事例だと言われています。

バーデンバーデンという街は、古くから温泉が有名な保養地でした。城や協会など、歴史ある美しい街並みがありますが、大きなインパクトのあるスポットはありませんでした。そこで、街の中心部にあるクアハウスと呼ばれる社交場にカジノを建設しました。クアハウスの周囲にホテルや劇場、ショッピングモールなどを建設し、コンサートや舞踏会などと併せて楽しめるリゾートスポットを作り上げたのです。

クアハウス(カジノ)が作られたのは1824年なので、既に200年近い歴史を誇ります。開場当初は、隣国フランスではカジノが禁止されていました。そのため、国境近くにあるバーデンバーデンのクアハウスには、フランスからの観光客も多数訪れ、今日の観光地としての人気の礎となりました

バーデンバーデンは、国際オリンピック委員会(IOC)の会合や、チェスの国際トーナメントを開催した実績もあり、MICE的な機能も果たしています。しかしシンガポールのように、最初から国際イベントの招致を狙っていたのではなく、バーデンバーデンという街の歴史と権威、社交場として国際的に高い評価が得られていたからこそ実現した、後発的な要因です。あくまで魅力的な観光地作りが第一であり、その一つがクアハウス(カジノ)だったという訳です。

地方のIRをバブル期の失敗リゾートの二の舞にさせないために・・・

日本でも、北海道や沖縄、東北や四国などにもIRリゾート(カジノ)を作る計画がありますが、これらの地域はあくまで観光ありきで、現状ではMICEのニーズはほぼゼロです。しかし、その土地古来よりの観光資源とカジノをマッチさせ、魅力的な街作りが成功した暁には、国際的なイベントなども誘致できるかも知れません。

地方のIRは、東京(横浜)大阪のように最初からMICE狙いで作ると失敗します。地方のIRは、発想の順序を逆にせねばなりません。


※バーデンバーデンのクアハウス・カジノの様子

バーデンバーデンのカジノは、上記の動画で分かるように、ラスベガスやマカオのカジノとは雰囲気が随分違います。ギャンブル場・鉄火場などではなく、大人の社交場という趣です。

日本の地方にカジノを作る場合も、バーデンバーデンのように「高級リゾート地」として設計する事が重要です。日本ではバブル期前後に、リゾート法やふるさと創生事業の後押しなどで、様々なリゾート施設が各地に建造されましたが、ほとんどが大赤字を垂れ流す失敗事業に終わりました。

地方の失敗リゾート開発例;シーガイア(宮崎)、志摩スペイン村(三重)、ロシア村(新潟)、スペースワールド(福岡)、ハウステンボス(長崎)、マリーナシティ(和歌山)

これらの失敗リゾートは、ご当地との関連が薄いものが多く、無理やりコンセプトを付けただけの「信念なき事業」だった訳です。万人に受ける事を目指す、平凡なリゾート計画では、バブル期に乱造された失敗を繰り返すだけに終わります。

バーデンバーデンの成功事例に学び、その土地の観光資源と連携して、かつ富裕層だけをターゲットに絞った高級路線を目指すのが、地方のIRが成功するための方向だといえるでしょう。日本の地方には、ドイツに負けない位、歴史や文化が根付いた街が沢山あるのですから。

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